歯並びは見た目だけでなく、噛み合わせや発音、むし歯・歯周病のリスクにも深く関わります。矯正歯科学では「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼ばれ、代表的なタイプに「出っ歯」「八重歯」「すきっ歯」などがあります。
これらは遺伝的な顎の大きさの不調和や、生活習慣・癖によって引き起こされることが多く、放置すると歯ぐきや顎関節に負担をかけることもあります。
本記事では10種類の代表的な歯並びを、原因・特徴・放置するリスクとともに解説します。
目次
■こんなにあるの?悪い歯並びといわれる種類
①出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)
上の前歯や上顎が前方に突出した状態です。骨格で出っ歯になっている場合は、上顎の過成長、歯並びの場合は前歯の傾斜が主な原因です。
指しゃぶり・口呼吸などの習癖が助長することもあり、放置すると口をしっかり閉じられない状態が習慣づき、口腔乾燥によってむし歯や歯周炎のリスクが増加します。外傷で前歯を破折しやすい点も注意が必要です。
②受け口(下顎前突:かがくぜんとつ)
下顎が前方に出ている状態で、骨格性下顎前突が代表的です。遺伝的要素が強く、成長とともに顎の差が拡大することもあります。放置すれば咀嚼効率の低下、発音障害、顎関節症の誘因となり、長期的には顔貌の非対称を伴う場合もあります。
③上下顎前突:じょうげがくぜんとつ
上下顎の前歯が前方に傾斜している状態です。「口ゴボ」と呼ばれることもあり、唇が閉じにくいため、口呼吸や歯ぐきの乾燥を引き起こすことがあります。結果として歯肉炎や歯周病を助長しやすく、審美的にも口元が突出して見えるのが特徴です。
④ガタガタの歯並び・八重歯(叢生:そうせい)
歯列に対して歯がきれいに並ぶスペースが足らず、歯が重なり合って生えている状態です。
八重歯は犬歯が生えるスペース足らず、隣の歯に重なったような状態で生えるのが典型例です。歯ブラシが届きにくく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。また、犬歯は噛み合わせのバランスに重要な歯であるため、位置がずれていると噛みにくさにも悪影響を与えることがあります。
⑤開咬(かいこう)
上下の歯を噛み合わせても前歯が接触しない歯並びです。舌突出癖や指しゃぶりが主要因で、骨格的な要因が加わることもあります。前歯で食物をうまく噛み切れなかったり、臼歯部に負担が集中し、顎関節症のリスクが上がります。発音障害(サ行・タ行の構音障害)も特徴です。
⑥すきっ歯(空隙歯列:くうげきしれつ)
歯と歯の間に隙間がある状態で、顎に比べて歯が小さい「矮小歯」や先天欠如が原因となることがあります。隙間に食片が停滞しやすく、むし歯や歯肉炎のリスクを増加させます。審美的な問題だけでなく、空気が漏れることで発音に支障をきたすこともあります。
⑦切端咬合(せったんこうごう)
上下の前歯が先端同士で当たる歯並びです。成長発育や歯の生え方が原因になる場合があります。放置すると歯の先端の摩耗が早く進み、歯の内部にある象牙質が露出して知覚過敏を起こすことがあります。長期的には歯の破折リスクも増加します。
⑧交叉咬合(こうさこうごう)
上下の歯が左右にずれて交差して噛み合う状態です。骨格的な非対称や早期接触が原因です。咀嚼筋のバランスが崩れ、顎関節に偏った負担がかかるため、顔面の非対称や顎関節症につながることがあります
⑨過蓋咬合(かがいこうごう)
上の前歯が下の前歯を深く覆う状態で、下の前歯が上の歯ぐきに接触することもあります。歯の生える角度や、下顎の成長が不十分なことが考えられます。歯ぐきが傷ついたり、知覚過敏、歯の摩耗を引き起こすリスクがあります。
■ご自身の歯並びが気になる方へ
歯並びの状態は見た目だけでなく、噛み合わせ・発音・歯ぐきの健康などにも大きな影響を及ぼします。しかし、ご自身で正確に判断するのは難しく、専門的な診断が必要になります。
歯科医院ではレントゲン撮影や模型、口腔内スキャナーなどを用いて顎や歯列の状態を詳細に分析します。そのうえで、必要に応じて矯正治療の適応や治療法の選択肢をご提案します。
矯正治療にはワイヤー矯正やマウスピース矯正など複数の方法があり、患者様の年齢や歯並びの特徴によって適切な治療法が異なります。
お子様の場合は顎の成長を利用して改善できる時期もあるため、早めの診断と定期的なチェックが大切です。
気になる点があれば、まずは歯科医院で相談することをおすすめします。
■まとめ
歯並びの乱れには「出っ歯」「八重歯」「開咬」など多様なタイプがあり、それぞれ原因やリスクが異なります。見た目だけでなく、むし歯・歯周病・顎関節症など全身に影響することがあり、放置すると将来の歯の喪失にもつながります。
しんみ歯科石神井台では、一人ひとりの顎や歯並びの状態を精密に診断し、マウスピース矯正なども含めた適切な治療をご提案しています。歯並びでお悩みの患者様は、ぜひお気軽にご相談ください。