
むし歯が神経(歯髄)まで進行すると、多くの方が「もう神経を取るしかないのでは?」と考えられます。しかし、最近ではMTAセメントという特殊な薬剤を用いることで、歯の神経を残せる可能性があります。
MTAセメントは歯の内部を密閉し、細菌の侵入を防ぐことで自然治癒力を引き出す画期的な材料です。今回は、MTAセメントを使った治療について患者様からよく寄せられる質問をまとめました。
目次
■MTAセメントでよくある質問
Q1. MTAセメントを使えば、もう神経を取らなくてもいいのですか?
A.すべてのケースで神経を残せるわけではありません。神経が一部でも炎症や感染を起こしている場合、MTAセメントで封鎖することで回復が期待できるケースもありますが、進行が深い場合は根管治療が必要になることもあります。診断はレントゲンや症状の有無をもとに慎重に行います。
Q2. MTAセメントとはどんな成分なのですか?
A.MTAセメント(Mineral Trioxide Aggregate)は、ケイ酸カルシウムを主成分とする医療用セメントです。体にやさしく、歯や骨とよくなじむ性質があります。水分と反応して硬化するため、口の中の環境にも適しています。
Q3. MTAセメントの費用は保険適用になりますか?
A.現在、MTAセメントを用いた歯髄保存療法は、保険治療の材料とは異なり、封鎖性や生体親和性に優れているため、原則として自費診療となります。費用は歯科医院によって異なり、治療前に必ず費用について説明を行います。
Q4. 治療の失敗や再治療の可能性はありますか?
A.適切な診断と処置を行えば成功率は高いものの、神経の炎症が進行していたり、細菌が深く入り込んでいる場合は再発のリスクもあります。その場合、根管治療(神経を除去する治療)に切り替えることがあります。
Q5. MTAセメントにデメリットはありますか?
A.MTAセメントは非常に優れた材料ですが、いくつか注意点もあります。まず、使用するためには専門的な技術や設備が必要であり、すべての歯科医院で対応できるわけではありません。
また、保険適用外となるため費用が高くなる傾向があります。さらに、症例によっては適応できない場合があり、神経の炎症が広がっているとMTAセメントでは対応が難しいこともあります。
加えて、一度処置を行うと再治療が難しくなる場合があるため、治療前に十分な診査と説明が重要です。
Q6. MTAセメントと従来の根管治療はどう違うのですか?
A.従来の根管治療は、感染した神経をすべて除去して歯の中を清掃・消毒する方法です。一方で、MTAセメントは神経をなるべく残し、歯の自然な反応を活かす「歯髄保存療法」として用いられます。歯の寿命を長く保てる点が大きな違いです。
Q7. MTAセメントで治療した歯はどのくらいもつのですか?
A.状況や生活習慣にもよりますが、正しく処置されれば長期間にわたって健康な状態を維持できます。治療後は定期的なメインテナンスと丁寧な歯みがきが重要です。
Q8. 子どもの歯にも使えますか?
A.はい。お子様の歯でも、神経を守る必要があるケースでは使用できます。特に乳歯や生えたての永久歯は神経が大きく、MTAセメントで保護することで将来の歯の発育にも良い影響を与えます。
■歯の神経を残したい方へ
当院では、MTAセメントを用いた歯髄保存療法に対応しております。むし歯が深くても、すぐに神経を取らず、残せる可能性を一つひとつ丁寧に診断いたします。
MTAセメントは保険適用外となりますが、歯の寿命を延ばすための有効な選択肢の一つです。患者様の歯をできる限り残すことを重視し、症例に応じて適切な治療法をご提案いたします。
「歯を抜きたくない」「神経を残したい」という方は、ぜひ一度ご連絡ください。MTAセメントを活用した歯髄保存療法についてもっと詳しく知りたいという方は、過去のコラム「むし歯の神経を残す「歯髄保存療法」とは?|歯の寿命を延ばす治療です」をご覧ください。
■まとめ
今回は、歯の神経を残せる可能性があるMTAセメントの保険適用の有無やデメリット、費用などの疑問にお答えしました。MTAセメントは、従来では抜くしかなかった神経を守る可能性を広げる新しい材料です。
むし歯が深くても諦めず、まずは神経を残せるかどうか歯科医師にご相談ください。当院では、一人ひとりの歯を大切に守る治療を行っています。
