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インプラントで骨が足りない場合②|ソケットリフトとサイナスリフトの違いとは


皆さん、こんにちは。練馬区のしんみ歯科石神井台です。

前回のコラム「インプラントで骨が足りない場合①|歯科治療で行うGBR(骨造成)とは」では、骨の幅や高さを補うためのGBR治療についてお話ししました。


今回は、特に上顎の奥歯部分で骨が不足している場合に行う「ソケットリフト」と「サイナスリフト」という2つの治療法について、違いや特徴、治療の流れをわかりやすく解説します。


上顎は他の部位に比べて骨の厚みが少なく、上顎洞(サイナス)と呼ばれる空洞が近いため、骨造成が必要となるケースが多いのです。


■骨造成治療:ソケットリフトとサイナスリフトの違いとは?


◎共通点は「上顎の骨を増やす処置」

どちらも、上顎の奥歯にインプラントを埋める際に骨の厚みを確保するための手術です。上顎洞の底部分を少し持ち上げ、その空間に人工骨や自分の骨を補填して骨の高さを増やします。


大きな違いは、「どの程度骨が足りないか」と「どこからアプローチするか」にあります。


■ソケットリフトとは


◎骨の高さがわずかに不足しているケースに適応

ソケットリフトは、上顎の骨が6〜8mmほど残っている軽度の骨不足に対して行う方法です。インプラントを埋め込む際に開けた穴(ソケット)から上顎洞の底を少しずつ押し上げ、その空間に人工骨を補填して骨の厚みを確保します。


上顎洞の形態を大きく変えずに骨を増やせるため、比較的短期間で治療を完了できるのが特徴です。


◎手術の流れ

  1. 歯ぐきを小さく切開し、インプラントを埋める位置に穴を開けます。

  2. 専用の器具を用いて上顎洞の底を慎重に持ち上げ、空いたスペースに人工骨を少量充填します。

  3. 骨の安定が得られれば、そのまま同日にインプラントを埋入することも可能です。


◎メリットとデメリット

メリット


  • 手術の範囲が小さく、患者様の身体的負担が少ない

  • 治療期間が短く、3〜6ヵ月程度で骨が安定しやすい

  • 腫れや痛みが比較的軽く、日常生活への影響が少ない


デメリット


  • 骨が極端に薄い場合は適応できない場合がある

  • 上顎洞の膜(シュナイダー膜)が破れるリスクがある

  • 骨を直接確認できないため、術者の経験と繊細な感覚が求められる

  • 人工骨が十分に安定しない場合、追加の骨造成が必要になることがある


■サイナスリフトとは


◎骨の不足が大きい場合に行う方法

サイナスリフトは、上顎の骨が4mm以下と大きく不足している場合に行う外科的な骨造成法です。


歯ぐきの側面(頬側)からアプローチして骨に小さな窓を作り、上顎洞の内部を覆う膜(シュナイダー膜)を慎重に持ち上げ、その下に人工骨を補填して骨量を増やします。


大きく骨を作ることができるため、インプラントを長期的に安定させるためのしっかりした土台を確保できます。


◎手術の流れ

  1. 頬側の歯ぐきを切開し、骨の側面に小さな開口部を作成します。

  2. 膜を損傷しないよう細心の注意を払いながら持ち上げ、内部に空間を形成します。

  3. その空間に人工骨を充填し、数ヵ月かけて新しい骨が定着するのを待ちます。

  4. 骨の再生を確認後、およそ6〜9ヵ月後にインプラントを埋入します。


◎メリットとデメリット

メリット


  • 骨がほとんど残っていない症例にも対応できる場合がある

  • 広い範囲で骨を増やせるため、インプラントの安定性が高い

  • 長期的な予後(治療後の安定性)が良好

  • 一度に複数本のインプラント埋入に備えられる


デメリット


  • 外科的な処置が大きく、術後の腫れや痛みが出やすい

  • 治癒期間が長く、完了までに6〜9ヵ月ほど要する

  • 上顎洞の膜が破れるリスクがあり、再治療が必要になる場合もある

  • 副鼻腔炎(蓄膿症)など鼻腔の既往症がある方は適応できないことがある

  • 喫煙や糖尿病など全身状態によっては治癒が遅れる可能性がある


■ソケットリフトとサイナスリフトの比較表


 

ソケットリフト

サイナスリフト

適応

骨が少し足りない(軽度)

骨が大きく不足している(重度)

アプローチ部位

インプラント埋入部から

歯ぐきの側面(頬側)から

骨補填量

少量

多量

手術時間

約30〜60分

約60〜90分

治療期間

約3〜6ヵ月

約6〜9ヵ月

同時インプラント埋入

可能な場合が多い

基本的に骨完成後に実施

身体への負担

少ない

やや大きい


このように、ソケットリフトは軽度の骨不足に、サイナスリフトは重度の骨不足に適した方法です。どちらを行うかは、CTによる精密な検査で顎の骨の厚みや形態を確認した上で判断します。


■安全な骨造成の処置のために大切なこと


上顎洞の膜は非常に薄いため、手術中に破れてしまうと感染のリスクが高まります。そのため、経験豊富な歯科医師がCT画像による三次元的な診断を行い、安全性を確保しながら施術することが重要です。


また、喫煙・糖尿病・骨粗しょう症などは骨の治癒を妨げるため、事前に全身状態をしっかり確認してから治療計画を立てます。


■まとめ


ソケットリフトとサイナスリフトは、上顎の骨が足りない患者様にインプラントを行うための骨造成法です。ソケットリフトは負担が比較的少なく短期間で治療を終えられる一方、サイナスリフトは骨が極端に不足しているケースでも増骨を行い、インプラント治療の適応が広がります。


しんみ歯科石神井台では、CTによる精密な診断と安全性を重視した治療を行い、患者様一人ひとりに適切なインプラント治療をご提案しています。骨の量に不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。


しんみ歯科 石神井台
歯科医師
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