INTRODUCTION
虫歯には免疫による自然治癒がないので治療が必要です。ただ残念ながら治療しても歯が元に戻るわけではありません。歯を失う前に虫歯を“早く”見つけ、“しっかり”取り除き、“ちゃんと”詰める。やり替えのない治療を目指します。
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虫歯治療について
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01
早期発見、早期治療
永久歯は歯の中に占める神経の割合が年齢と共に小さくなるので、鈍感です。 自覚症状が出る前に、虫歯は出来始め、歯の内部に進行していきます。
歯を少しでも多く残すため、早期発見、早期治療が大切です。 -
02
徹底的な除去
細菌に感染した歯質を徹底的に取り除き、進行を食い止めます。予後が悪いドックスベストセメントや3Mix-MP療法のような虫歯を残す治療はおこないません。
健康な歯質は治療後の歯の強さ、詰め物の持ちに必要になるので、最小限の切削を心掛けています。 -
03
確実な修復
虫歯をとり除いた歯は過不足なくしっかりと詰めないと、その隙間から再び細菌感染して虫歯になります。
治療の理想は歯そのもので修復することですが、現実は人工物を詰めているにすぎません。人工物の特性が治療の良否を決めます。
修復治療に使用する人工物の中で歯の特性に近いのが、セラミックとPGAです。セラミック
吸水性が低く、材質が劣化しにくいので、新たな虫歯を防ぎます。
※保険治療で使われる白い材料:プラスチック、ハイブリッドレジンPGA(プラチナと金の合金)
口の中で錆びつかず、たわまないので、長持ちします。
※保険治療で使われる金属:12%金銀パラジウム合金
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進行度による治療ガイド
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CO 歯の脱灰
歯の表面が脱灰(酸により溶けている)しているだけで、細菌感染はない。
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治療法
歯の再石灰化(再び元の状態に戻す働き)を促進するフッ素塗布/エナメルコーティング
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C1 エナメル質内の虫歯
細菌が感染した部分をとっても、削った穴が小さすぎて詰められないので、修復しようとすると必要以上に歯を削ることになる。
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治療法
歯の再石灰化(再び元の状態に戻す働き)を促進するフッ素塗布/エナメルコーティング。場合により修復治療
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C2 象牙質内の虫歯
歯は内部にいくほど柔らかくなり、虫歯の感染のスピードが速くなる。 歯の内部にある神経を守るため、積極的に虫歯治療をします。
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治療法
修復治療
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C3 歯髄(歯の神経)におよぶ虫歯
根尖孔と呼ばれる歯根先端の小さな穴から深部への感染を防ぐため、歯髄をとり除き、内部を消毒します(根管治療)。 歯の栄養源である歯髄がなくなるので、治療後の歯の寿命が著しく短くなる。
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治療法
根管治療→修復治療
当院では症状によっては歯髄を残すため、MTA歯髄保存療法→修復治療を推奨
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C4 歯根におよぶ虫歯
歯冠(歯肉の上にある部分)はなくなり、細菌感染が歯根にまで進んでいる。虫歯をとり除くことも修復することもできず、細菌感染が全身に影響を及ぼすので、抜歯が必要です。
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治療法
抜歯→インプラント/ブリッジ/入れ歯によって歯を補う治療
当院では歯を残すため、外科的歯冠延長術/矯正的挺出(歯根を歯肉より上に露出させる)→根管治療→修復治療を推奨
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修復治療について
虫歯により失われた歯質を人工物で回復することを修復治療といいます。
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01
直接法(口の中で直接詰める)
保険治療
コンポジットレジン(プラスチック)
自費治療
ハイブリッドセラミック(セラミックとプラスチックの混合物)
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02
間接法(模型で作製したものを詰める)
保険治療のインレー(詰め物)
12%金銀パラジウム合金
自費治療のインレー(詰め物)
- セラミック
- PGA(金とプラチナの合金)
保険治療のクラウン(被せ物)
- 12%金銀パラジウム合金
- CAD/CAM冠(ハイブリッドレジンもしくは純チタン)
自費治療のクラウン(被せ物)
- セラミック
- PGA(金とプラチナの合金)
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虫歯治療のオプション
MTA歯髄保存療法
虫歯除去時に神経が露出した際、露出部をMTAセメントで保護して、歯髄を保存する治療
外科的歯冠延長術
歯根周囲の骨を削合して、歯肉内に埋まった歯根を歯肉の上に露出させて、虫歯治療を可能にする外科治療
矯正的挺出
歯肉内に埋まった歯根を持ち上げて、虫歯治療を可能にする部分矯正治療